幸せの黒い鳥
作:小俣雅史
第二話
「すずめちゃん、お母さん来たわよー」
「あ、はーい」
帰ってきた。
今日はお母さんが先みたいね。
いつもお父さんとお母さんは高校というところで勉強を教える、教師というのをやっている。
『やっぱりこのご時世じゃ公務員が安全だから』
最初はお母さんだけが教師だったらしいんだけど、お父さんもそう言って教師になったらしい。
だから学校が終わるまで二人は帰れない。
二人とも学校は違うので、どっちが先に帰ってくるかもわからないからどっちが先に帰るのかもある意味興味深いかも。
私はお父さんもお母さんも好きだからどっちでも良いんだけど、できたら二人一緒がいいな。
「お母さん、お帰り」
私はすぐにお母さんのところへ駆け寄った。
「ただいま。ごめんね。待たせて」
「ううん、大丈夫だよ、私は」
「昨日の健くんの到着時間を考えれば、約12分の遅刻ね……それだけ私はすずめを待たせてしまったわ」
「そんなことないよ。ここ数週間の迎えに来た時間を換算すれば、誤差はだいたい54.2秒っていうのが私の計算」
「ふふ……良い子ね、すずめは」
「えへへ……」
お母さんは、そう言って私の頭を撫でた。
お母さんの温かい手の平は、とても心地よい。
お父さんの大きな手も好きだけど、こっちも好き。
欲張りね……私は。
私は軽く自分に苦笑すると、お母さんの手を握った。
するとお母さんは園の外へと歩き出し、私もそれに続く。
「あ、つばめ、すずめ」
「お父さん!」
丁度門を出て角を曲がったところで、お父さんが歩いていた。
たぶん同じくらいに学校が終わったのだろう。
「健くん、お帰りなさい」
「ただいまつばめ。それに、すずめもね」
そう言って、お父さんは私の頭を撫でた。
お父さんの手……やっぱり温かい。
「それじゃあ、帰ろうか」
「ええ」
お父さんは私の手を握ると、家の方へ向かって歩き出した。
私はお父さんとお母さんに挟まれた形だ。
こういうのってありきたりな風景だけど、それだけに……楽しい。
もう日も沈んだ暗い道を、私達は歩いていく。
周りは暗くても、きっと私達は温かく、明るいのだろう。
三人でいる時は、私達家族はいつも笑顔……。
さて、こんな生活を送っている私達一家。
今日は私、娘のすずめがお父さんの健と、お母さんのつばめの生活を解説していきましょう。
ちょっと気がひけるけど、これも家族をより知るために必要なことよね。
正当化は悪いことじゃないわ。
それによって誰かが傷つかなければ、完全な利益たるものですもの。
私は、休日を利用して二人の生活をレポートにしました。
第三話へ続く
第一話へ戻る 小説のトップへ戻る