Memories Off 〜宇宙を翔ける想い〜

作:小俣雅史

 

第四話

 

「ちぃ、なんて数撃ってくるんだよ!!」

 オレは止まらない砲撃に苦しみながらもなんとか回避運動を続けていた。

 中学時代運動部の助っ人としてならしたオレだが、どうも運動不足だったせいか疲れがたまってきていた。

 寝る子は育つというのに……あれは嘘か!!

 とにかくオレは何か打開策はないかと模索し始めた。

 天才的かつコスモなワールドを展開しているオレの脳をフルに活動させて考える。

 ……………………。

 ん? 待てよ?

 なんでオレを攻撃してくるんだ?

 唯笑を人質にとられて……殺されたくなければ戦え……。

 オレが狙われて…………オレは用済み…………。

「……唯笑も殺される……いや、もう既に……っく!!」

 オレはこんな状況の中無理矢理通信回線を映像ごと開いた。

 勿論、相手はアサナギだ。

 一瞬目の前にモニターが砂嵐を上げてブレると、信の仲間と思われる男が映った。

「いいか、良く聞け!! オレはここで艦隊の足止めしとくから、お前らは先に星に行ってくれ!!」

「な、いいのか智也!?」

 通信に音声だけだが信が割り込んでくる。

 オレはさらに声を張り上げて言った。

「代わりと言っちゃなんだが、唯笑を助けておいてくれ!! こっちのカタがついたらオレも追う!!」

    モニターに移ってる男は、やや訝しげな視線をオレに送っているが、そんなことはどうでもいい。

 オレは信の返答を待った。

「……わかった。唯笑ちゃんは任せとけ!! 後は頼んだぞ、智也!!」

「おう!」

 オレは信の返事に感謝すると、敵の母星へと向かっていったアサナギの背中を見送った。

 だが攻撃は再び大量に飛来し、オレは回避運動に追われた。

「さて、これを全部避けきれるかが問題だなぁ……うお!?」

 オレが少し油断した瞬間、砲撃の一部ユウナギの脚部を全て吹き飛ばした。

 やはり戦艦のビームともなると威力がケタ違いだ。

 バランサーをおかしくしたユウナギは、コントロールまで効かなくなる。

 そして、オレの視界を、ビーム光のが包んだ。 

(チッ……じゃあな、信……唯笑)

 一瞬、熱さを感じるとオレの意識はブツリと途絶えた。



第五話へ続く




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