Memories Off 〜宇宙を翔ける想い〜

作:小俣雅史

 

第二話

 

「……彩花……オレは、どうすればいい……」

 オレはアサナギと時を同じくして製造された、この『ユウナギ』の冷たいコクピットでぽつりと呟いた。

 返事が返ってくるはずもないのだが、殆ど無意識的にその人の名を呼んでいた。

(……智也が信じる道を行けば、きっと唯笑ちゃんも、友達の人も、大丈夫だよ……)

 だが、オレの問いには返事が返った。

 その言葉は懐かしく、温かい声に乗ってオレの心へと沁み込んでいく。

 …………そうか。

 やっぱり、彩花はオレと共に居るのか……。

 オレは、いつもお前に背中を押してもらってるんだな。

「さて、行くぞ。ユウナギ」

 オレは操縦桿を握りしめると、一呼吸置いてから機体を動かした。

 いつの間にか向こうの方も動き出している。

 信はオレの考えてることを悟ってくれたらしいな。

「装甲板全解除……オールグリーン」

 先程空間を開いて取り出した巨大な装甲板を敢えて取り外した。

 あいつらと戦うには、これは邪魔な代物だ。

 そして、オレは右肩のやや上方にあるレバーを一気に前へと突き出す。

  「唸る剛拳……シィオーチンブレッドォ!!」

 ユウナギは、紫色の光を放ちながらアサナギへと翔けていった。



第三話へ続く




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