上空からのチトセの攻撃を食らったバンダースナッチは、攻撃の勢いに押されて前のめりになって川底に顔を埋めた。ムーンリバーから天空に向かう水柱を上げて……。
チトセ「……フン、他愛もない!このままコイツを吾が主の元へ……」
チトセはそういって、バンダースナッチのメルニボネの皇子を思わせるような髪を無造作に引っ張り、彼を連れて行こうとした。……が、エレイン橋の上から叫び声が聞こえて……、
滅笛「(炎の刃が出ていないフレイムファングをチトセに向けて)そこで何ウチのペットを虐待してる!!……『ファイアーボール』!!」
ボワァァァァァ!!
燃え盛る炎の塊がバンダースナッチごとチトセを呑み込もうと顎(あぎと)を開いている。それに対してチトセは臆する事も無く…
チトセ「そんなもの!……フン!!」
気合を入れて剣を振ると、彼に襲いかかろうとした炎が瞬く間に消え、返す刀でその向こう側にいる筈の滅笛に向けて、衝撃波を放つ……だが、衝撃波は彼を捉えず、代わりに橋げたごとエレイン橋を真っ二つにしただけだった。
滅笛「あーりゃりゃ、まぁた、斬られたよエレイン橋……ふぅ、『エレイン橋おちたぁ落ちたぁ落ちたァ』……なぁんてな!」
声のする方に振り返るチトセ、彼の目に、炎の魔剣を持った男と、何時の間にか男に奪還された白髪の青年の姿が見える。
滅笛「さっきからおめーらの話し聞いてたけども……どーやらおめぇ、むつきママ達の子供の様だな?」
チトセ「それがどうした!」
滅笛「どうするって、こうするのさ!!!!」
と、言いながら滅笛はフレイムファングで再び火球を作った。
チトセ「馬鹿の一つ覚えが……逃がさん!!」
滅笛「どっちが馬鹿だい!?……『スタンスローター』!!」
スタンスローター、――すさまじい閃光と爆音によって相手の動きを止める補助魔法――によって、動きを止められたチトセ、彼の視覚と聴覚が正常に機能した頃には、誰も居なくなっていた。
チトセ「……ちッ逃げられたか……まぁよい、まだ始まったばかりだ!!」
彼の瞳に、地獄の番犬の名を冠した何かが宿っていた。
第六話へ続く