闇よりもなお昏きもの

作:ほろふる!

 

第三話 Word of Binding(束縛の言葉)

 

 

 剣を大上段に構えて、うづきに斬りかかろうとするチトセ、その様はネズミを追い詰めたネコが、餌となるソレを玩ぶかのようだ。

うづき「チ……チトセくん……冗談だよね……うづきの事……」

 しかし、チトセはその言葉を遮った。そしてその刹那、

チトセ「……死ね!四天王うづき!!」

 チトセはうづきに対して手にした黒い剣を振り下ろした。だが、うづきは恐怖とチトセの放った言葉に束縛され、天罰を甘んじて受ける殉教者のように動かなくなった。

 そして、黒い刃は彼女に襲い掛かる。

 

 ズヴァァ――――!!

 

 川底ごとうづきは斬り殺された……筈だった。

 だが、うづきを襲ったチトセの兇刃を、リオの護身獣『ビーティー』が盾となって護ったのだ。

 

チトセ「クッ……犬ッコロ風情が、余計な事を……なら!」

 そう言ってチトセは後方にジャンプして間合いを取り、自分の体内にある『冥い波動』を剣に集中させて、うづき達の後ろで固まっているリオ達ごと狙いをつける。

 チトセ「真っ赤な薔薇になって枯れ果てろ!!『吸血薔薇吹雪(ヴァンプローゼス)』!!!!」

 剣から放たれし漆黒の衝撃波が、うづき達に牙を剥いた。

 

 あわや、彼女達にその牙が掛かろうとした刹那、うづき達の目の前の空間が歪ませて白い髪の青年が現れ、異形の右腕で漆黒の衝撃波を切り裂いて消滅させたのだった。

バンダースナッチ「チトセ!てめぇ、誰に向かって刃を向けているんだ!!」

チトセ「吾が主の『糧』にだ……」

 

第四話へ続く

 

 

第二話へ戻る       小説のトップへ戻る