剣を大上段に構えて、うづきに斬りかかろうとするチトセ、その様はネズミを追い詰めたネコが、餌となるソレを玩ぶかのようだ。
うづき「チ……チトセくん……冗談だよね……うづきの事……」
しかし、チトセはその言葉を遮った。そしてその刹那、
チトセ「……死ね!四天王うづき!!」
チトセはうづきに対して手にした黒い剣を振り下ろした。だが、うづきは恐怖とチトセの放った言葉に束縛され、天罰を甘んじて受ける殉教者のように動かなくなった。
そして、黒い刃は彼女に襲い掛かる。
ズヴァァ――――!!
川底ごとうづきは斬り殺された……筈だった。
だが、うづきを襲ったチトセの兇刃を、リオの護身獣『ビーティー』が盾となって護ったのだ。
チトセ「クッ……犬ッコロ風情が、余計な事を……なら!」
そう言ってチトセは後方にジャンプして間合いを取り、自分の体内にある『冥い波動』を剣に集中させて、うづき達の後ろで固まっているリオ達ごと狙いをつける。
チトセ「真っ赤な薔薇になって枯れ果てろ!!『吸血薔薇吹雪(ヴァンプローゼス)』!!!!」
剣から放たれし漆黒の衝撃波が、うづき達に牙を剥いた。
あわや、彼女達にその牙が掛かろうとした刹那、うづき達の目の前の空間が歪ませて白い髪の青年が現れ、異形の右腕で漆黒の衝撃波を切り裂いて消滅させたのだった。
バンダースナッチ「チトセ!てめぇ、誰に向かって刃を向けているんだ!!」
チトセ「吾が主の『糧』にだ……」
第四話へ続く