みなたんとおデート 〜THE SHOOTING STAR〜

作:松田七瀬(管理者)

 

第五話

 

 ジェットコースターを乗り終えた俺とみなづきは、手近なベンチに腰を下ろしていた。
「……お兄ちゃん、本当に大丈夫?何か顔色悪いよ?」
 心配そうな顔で言うみなづき。正直なところ物凄くかったるいが、
「ああ、何てことない。もう少し休めば楽になるさ」
 と言ってみた。みなづきをこれ以上心配させるわけにもいくまい。
「……ごめんね?苦手かどうかも聞かないで無理遣り付き合わせたりなんかして」
 神妙な面持ちでそう言うみなづき。とうとう俺が絶叫マシーンが苦手なのをわかっちまったか……って気ィ失えばバレバレか。
「いや、最初に苦手だと言わなかったのは俺だ。だから悪いのはお前じゃない。それにお前が楽しんでるところを見られさえすりゃ、 それだけでも我慢して乗った甲斐があったってものさ」
「お兄ちゃん……」
 みなづきは神妙な表情を崩さない。別に嘘を言っているわけではないんだけどな。 ……もっともこいつが楽しんでいるところは、気を失ったせいで殆ど見られなかったわけだが。

「……ところでみな、楽しかったか?」
 俺はみなづきの神妙な表情を崩すべく話題を逸らした。するとみなづきは、
「うん!楽しかったよ。物凄く高いところから一気に落ちる所は気持ちよかった〜っ♪」
 と満面の笑顔でそう言った。よかったよかった……と思いきや、
「みな、アレもう一回乗りたいなぁ〜♪」
「冗談じゃないぞみな。乗りたきゃ一人で行け……ってかまた並ばなきゃならないじゃないか。ダメだダメだ」
 "The Shooting Star" には相変わらず大行列が出来ていた。もしかすると俺たちが並んだ時よりも長い列になっているかもしれない。 そんな中に再び入るなんて冗談じゃない。そう言うとみなづきは少し残念そうに「ちぇっ」と呟いた。
「そんなことよりみな、そろそろ飯にしないか?」
 俺は時計を見て言った。ジェットコースター乗車待ちで時間感覚が麻痺していたが、気付いてみたら既に正午を過ぎていた。
「もうそんな時間?……それじゃどこかでお弁当にしよ♪」
 俺とみなづきは飯を食うのに良い場所を求めてベンチを立った。身体はだいぶ軽くなっていた。

「午前中はジェットコースターしか乗れなかったからな。飯食ったら遅れを取り戻そうぜ」
 飯食う場所を求め歩きながら俺がそう言うと、みなづきはまた園内マップを取り出し、
「みな、ご飯食べたら今度はコレに乗りたいな。あとこれとこれと……」
 みなづきが次々と指差すアトラクションは、フライングカーペットにフリーフォール、ゴーストハウスにビックリハウス……っておいっ、俺が苦手なモノばかりじゃねえか!?
 ちなみに俺は高いところと同様に、お化け屋敷とかも大の苦手なのであった。これにもとんでもない曰くがあってだな……
「……もう勘弁してくださいよみなづきさん。俺を何回死なせりゃ気が済むんで?」
 泣き言を言う俺を見て、みなづきは「てへっ」と悪戯っぽく笑った。もう本当に勘弁してくれーーーっ!!!

 

−END−

 

 

 

−あとがき−

 

 ……そんなわけで(どんなわけだよ)『みなたんとおデート 〜THE SHOOTING STAR〜』 完成の運びと相成りました。
 小説の類はいつUPしたのか、今までははっきりとは記録に残していなかったので、これの前編をUPした正確な時期は忘れましたが、 少なくとも4年間は未完のまま放置されてきたということになるわけでして……(苦笑)。

 私も恥ずかしながら長らくこのSSの存在を忘れていまして(ぉ)、刹那(当時のHNは愛こそすべて)に続きをいつ書くのかとか聞くことも殆どなく、 ずっと放置してきたのですが、昨年の暮れ頃(確か)にメールで、消すなり勝手に続きを書くなり好きにしていいと言われたため、 私のSS執筆再開の手始めとして完成させようと思い立ったのが今年の初めのことでした。しかし今年の所信表明で一月中に完成させるとか公言しておきながら、 一月が終わっても手を付けないばかりかあっさりと忘れ、暮れの今頃になってから慌てて執筆する有様で……(オイ)。
 まあ本当は忘れたりしたわけではなく、ちょっと小説やシナリオについて勉強してみたいと思い、 ゲームシナリオの制作経験を持つ私の知人が自身のブログで推薦していた教科書を、幾つか買って読みかじったりと準備はしていたんですけどね。 ……もっともその効果が文章に現れたとは思えませんが(汗)。

 

 さて言い訳はこのくらいにして(ぉ)、本作に関するコメントを一言二言。

 この『みなたんとおデート 〜THE SHOOTING STAR〜』は、主人公である『俺』が、みなづきとの遊園地デートでジェットコースターに乗る羽目になり、そこで悲劇に遭遇するというお話です。
 刹那が書いた第一話はジェットコースターに乗ることになる(行列に加わる)ところで終わっていたため、必然的に私は乗り込むところからを書くことになるわけですが、 話をどういう方向に持っていくかは悩みました。具体的にいうなら主人公が高所恐怖症なので、そのトラウマを克服させる方向に持っていくのか否かですね。

 最初は克服させる方向で模索したのですが、如何せん私自身が遊園地に行くこと自体殆どなく絶叫マシーンの体験に乏しいこと、 また私は高所恐怖症ではない故に、そういった人がジェットコースターに乗せられたらその人の中でどういう世界が展開されるのかについて想像力が及ばなかったことなどから、 早々にリアリティを追求することは諦め、思い切って開き直りジェットコースターの場面は自分の想像でとことん塗り固めることを選択しました。 ……まあ結局は強引に主人公の意識を飛ばすことで、思いっきりジェットコースター全行程の内の大半を端折った上、主人公に降りかかる『悲劇』も随分と安っぽくなったり……(苦笑)。
 もっとも、そういう内容の薄さをカバーすべく、主人公の感じている恐怖の描写には力を入れたつもりです。その分瞬間瞬間の描写が冗長になった感じも否定は出来ませんけど(ぉ)。

 それと、タイトルにある"THE SHOOTING STAR"。これを作中にどう反映させるかという問題が、ある程度本編を書き進めたところで浮上したのですが、 結局ジェットコースターの名前に落ち着きました。もし私にもっと表現力があったら、もしかしたら別のところにタイトルを反映させていたかもしれません。
 ちなみに遊園地の名前"Happy☆World"の由来は、アニメ版ハピレスと同じ製作元からOVAがリリースされた竹下けんじろうさんの漫画タイトル"Happy World!"で、 それに"HAPPY☆LESSON"を重ね合わせたものです。

 

 駄文を長々と書き連ねましたが、本作は私のSS執筆活動再開の手始め。出来は荒削りですが、かつてハピレス掲示板やシスプリ掲示板にSSを書き込んでいた頃のように、 内容を充実させようと頭を捻ることを楽しむことは出来た気がします。今後は本作を足掛かりに、もっとSSの執筆に力を入れて参ろうと思っております。
 あえて応援してくれとは言いませんが、支持していただける方がいらっしゃれば嬉しいです。

 本作が将来、(技術的に)恥ずかしくて見返すのも躊躇われるものになっていることを祈りつつ(笑)、この辺で筆(?)を置きます。
 ここまで読んで下さった皆様、本当に有難うございました。

 

(2006年12月30日 松田七瀬(管理者))

 

 

 

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