私は取り残されたように自分の部屋の真ん中に座り、ととのいなくなった扉の方を見つめ続けた。やがてそれはムダな行為である気づくと、何気なくととの置いていった紙を手に取り、ベッドの上へ寝転がった。
「アイドル……かあ」
アイドル。やはりその言葉には特別な意味があるようで、少しだけ私がアイドルになったと想像してみると、胸踊るものがある。
「やっぱり……あたしもアイドルになりたいのかなあ」
興味がないというのはどうも本心ではないらしい。今の気持ちでなんとなくそれがわかった。
「…………」
気がつけばその紙の内容をしっかりと熟読していて、その間に自分の気持ちは段々纏まってきていた。
数分くらいかけてそのオーディション内容をしっかり把握しきると、私はひとつ胸の中で小さな炎がくすぶり始めるのを感じた。
……これは決意の炎だ。
私が、今やってみたいと思った事に対する情熱の念。それが炎と形容するのに相当する熱さとなって、今私の中で踊っているのだ。
もうこうなってしまえば、悩む必要などない。答えは一つだ。
「……よし! やってやろうじゃないの!」
これは誕生日という、人生の節目とも言える行事の日に起きた本当に小さな、小さな出来事だった。
だが今はまだ小さくても、いずれきっと大きな、重要な日になるだろう。
――この18歳の誕生日、私は決意したのだ。
自分の可能性に、挑戦してやる……と。
きっかけ、作ってくれてありがとね。
親友の、とと。
−END−