パンッ!
「おっとちゃん、誕生日おめでと〜!」
「…………」
まだパジャマ姿のまま仕方なく開いた朝10時の玄関は、明るい日差しと耳に痛い破裂音と色とりどりの紙のシャワーで出迎えてくれた。この瞬間私はいまいち状況を把握できずに寝ぼけ眼のまま不機嫌そうな表情をするしかできなかった。
「……って、おっとちゃん」
「なに」
別に意識しているつもりはないのだけれど、勝手に不機嫌そうな声と応対になってしまう自分に少し嫌気が差しながらも怪訝そうな表情をしている私の友人、『とと』こと飛世巴の次の言葉を待った。
「めちゃめちゃ……不機嫌そうだね」
「別に」
あー、あたしってバカだわ……。答えた後に後悔した。
どうしても声が不機嫌そうになってしまう。このままじゃ折角誕生日を祝いに来てくれた(ハズ)ととに悪いじゃない。私はととの前で一つ深呼吸すると必死に笑顔を作って元気良く声を掛けた。
「おっはよーとと! ありがとう! あたしの誕生日覚えててくれたんだね!」
「それ流石にキツイと思うよ」
「……あたしもそう思う」
ととの冷静なツッコミに耳の辺りが少し熱くなるのを感じながらも、春先といえどひんやりと冷えた玄関にパジャマ姿でいるのは辛いのでとりあえず私はととを自分の部屋まで案内した。
第二話へ続く