僕は夢を見る

作:小俣雅史

 

第三話

 

「どわっ!?」

 ぼくは意識を覚醒させると同時に跳ね起きた。

 ぼくの上に圧し掛かっていたものが一気にめくれ上がり、歪な形となる。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ…………ゆ、夢?」

「どうかしたの?」

「わっ!? 先生!?」 

 ぼくが落ち着く暇もなく、ぼくの目の前に先生の顔が現れた。

「……先生?」

 ぼくが反射的に言った言葉に、先生は訝しげな表情をする。

 あれ……?

「先生って……健くん、どうしたの?」

「どうしたの? おとーさん」

 ……先生が二人……。

 いや、大きいいつもの先生と、なにやら縮小された先生。

 しかもぼくへの呼称は「おとーさん」。

「……おお! つばめにすずめじゃないか」

 ぼくは、やっと意識を現実に引き戻した。

 そう、目の前にいるのは……妻のつばめ、娘のすずめ。

 そのまんまだ。

 別に何の違和感も無い。

「どうしたの? 朝から訳のわからない事言って……」

「おとーさん壊れた?」

 同じ顔がぼくに訝しげな視線を送る。

「い、いや……ちょっと昔の夢見てね……記憶の混乱って言うのかな」

 ぼくは出来うる限り正しい状況の説明をした。

 そう言うと、つばめは納得したように頷き、それを真似してすずめも頷く。

 すると興味も尽きたように、二人はぼくの部屋から出て行った。

「ふぅ……」

 ぼくは一気にため息をついた。

「まさか、二重夢を見るとは……貴重だなぁ」

 そんなことを思いながら、ぼくは部屋を後にした。



 なんであんな夢を見たのかはわからない。

 まぁ、ただの夢と言えばただの夢だが……。

 何かきっと意味があったのだろう。

 そう言えば……最近すずめと遊んでやってないなぁ。

 仕事は忙しいし……。

「もしや……二人に構えっていう神のお告げか?」

 でも、つばめに至っては……デートするのも今更だし、結婚した身としては……。

 その、なんだ……だし。

「ま、元気に生きろってことだな」

 ぼくはそう納得して顔を洗った。

 

−END−

 

 

−執筆者あとがき−

 

なんだこれは?

SSか?

日常の一部を切り取っただけの話。

といえばそれまで。

SSっていうのはちゃんとしたストーリーがあってこそSSな訳だし

これをSSというのはなんともおこがましい気が……。

でも、一応つばめのを書いてみました。

あんまりつばめじゃありません。

ただつばめと結婚した健くんってだけの話です。

すみません……はい。

であであ

(2001年11月21日)





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