相摩希望

作:小俣雅史

 

第十四話

 

希望「健さん、お見舞い持ってきましたよ〜」

日曜日の昼下がり、ぼくの病室の扉は明るい声とともに開けられた。

ぼくはそれが希望ちゃんだということを即座に判断し、ベッドから上体を起こした。

健「ありがと、希望ちゃん」

希望「どういたしまして。定番の果物セットです」

希望ちゃんは棚の上にバスケットを置くと、パイプイスを組み立ててぼくのベッドの横に座った。

希望「健さん、足の調子はどうですか?」

健「うーん。自分じゃよくわからないけど、複雑骨折だからまだダメなんじゃないかな」

そう、ぼくは電車に轢かれて、両足を複雑骨折していた。

先生の話によると、骨折というより骨砕だったらしいけど、とにかく長引くのは間違いない。

信くんは『小夜美さんと静流さんダブルで足技喰らったのか?』

と、いまいちよくわからないことを言っていたけど、とにかくここ数週間ぼくは絶対安静の寝たきりという訳だ。

希望「早く治るといいですね」

健「そうだね。もう暇で暇でしかたがないよ」

希望「あはは」

けど、実際はそれほどでもなかった。

毎日毎日希望ちゃんが面会時間一杯にいてくれるし、学校の時はたまに信くんが来てくれたりする。

ぼくは、本当に、かけがえのない愛する人を見つけたんだ……もちろん信くんのことじゃないけど。

健「しかしさ、本当、なんだったんだろうね」

希望「なにがですか?」

健「ほら、希望ちゃんやぼくの、不思議な記憶」

希望「あぁ…………たぶん、夢じゃないでしょうか?」

健「夢?」

希望「そうです。きっと、私を助けるために健さんが見た夢ですよ」

健「でも、それじゃあ希望ちゃんの方は?」

希望「…………自分を、本当の自分を見つけるために、神様がくれた夢です!」

健「そーいう考えもアリか……そうだね、そっちの方がいい」

希望「そうですよ。健さんと私は、神様公認の……その……」

急に希望ちゃんは頬を紅潮させたかと思うと、俯いてしまった。

その様子を見て、ぼくはつい苦笑してしまった。

そしてぼくは希望ちゃんの抗議を受ける前に、その唇を唇で塞いだ。

下半身が動かせないのでちょっと苦しい体勢だったけど……。

お互いの想いを確かめるには、なんら問題はなかった。

希望ちゃんはぼくの行動に逆らおうとせず、一度離して、ぼくにくちづける。

――その瞬間、全ての記憶は繋がった。

ぼくがあの時入院していたのは、車に轢かれたのでも、電車に轢かれたわけでもない。

夢を見るために、世界を閉じたんだ。

全ての記憶は、全て同じ世界の真実じゃない。

ぼく達が見た色んな世界なのだろう。

それが、今、この瞬間、この現実に収束した。

混乱は、正しい世界へと導かれた。

けどぼくは、どうしてこうなったのか、とてもじゃないがわからない。

それだから、神様だとか、そういう発想が生まれたのだろう。

でも、これが希望ちゃんの言う通り、神様が見せた夢ならばぼくは神様に感謝する。

そして、希ちゃん、望ちゃん。

ぼくの記憶の中にだけはっきり生きる少女達。

ありがとう。

 

−END−

 

 

−執筆者あとがき−

 

いわゆる一つの希望さんENDでした。

ここまで付き合っていただいて、ホントありがとうございます。

私は他の作品から見るように、あまりシリアスなモノ書いてないんですよ。

ていうか書けません。

まだ中学三年という社会性だとか語彙だとかロクにない私には、ギャグが関の山です……。

情景描写が出来てない上、心理描写も全然甘い。

もう絶堕文ですね、絶堕文。

でも苦しみながらなんとか書き上げてみました。

ユーザの間で色々と騒がれている希望エンドの解釈。

長井様らQ'tronのニクイ終わり方で、一部の人には不評ですが私的には大絶賛なこのシナリオ。

そのエンドを描かせていだきました。

であであ

(2001年11月03日)





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