――ひゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 どぉぉ〜〜〜ん…!――
花火の音が遠くの川の辺りから聞こえる。今日は町の八幡神社で夏祭りが開かれている。
勿論、祭には欠かせない夜店や祭囃子、本来は暑気払として打ち上げられる花火は風物詩として上げられている。
オレの名は双刃輝晃(ともは てるあき)。六人の妹がいる高校四年生(2年の時にバイトで大怪我こいて出席日数が足りなくなってダブった)だ。
今はそのうちの一人、雛子と祭に参加している。
「おにいたま〜〜〜!! 早くしないとヒナ、おにいたまおいていくよ〜!」
あっちゃ〜〜、これ以上読者に無駄話していたらヒナが向こう行ってしまう!
そうなる前にオレはヒナの元に向かった。
「もぅ……おにいたまったら。『今日はヒナの誕生日だから一日中一緒だよ』て言ったのに…」
口では怒っている様だけど、顔のほうではそんなに怒っていない。
「ごめんごめん……その代わりと言っちゃあなんだけど何かおごるよ。勿論これも……」
その続きを……
「『お誕生日プレゼントの中に入ってるよ』……でしょ?」
……ヒナにセリフを取られ形だけど、間違ってないし、ま、いっか。
こーやってヒナと一緒にほのぼのまったりと過ごせるのは夏休み中では最後――あさってからは海外でバイト(護衛の仕事)三昧――になるし、
今はこの時を楽しむとするか。
ヒナに引っ張られ、オレは射的の所に連れていかれた。
「どーした…ヒナ?」
『何か有るのか?』と言うよりも、ヒナは出店に指を指して、
「おにいたまー! ヒナ、あそこにあるおっきなピチュ欲しい」
射的……そーいやぁオレってばモデルガンであっても銃器苦手なんだよなァ…と、
しぶしぶ射的に使うそれを見たら、なんともまぁ珍しいことに、お約束のコルク式の弾丸を放つタイプのエアガンではなくボウガンだった。
それもクォレル(ボウガン用の矢)の先端部がコルクになっているやつだ。オレは内心…
「(いける! いけるいけるいけるぞぉぉ!!!)」
…と、無意味に握りこぶしを握り締めてガッツポーズを取っていた。
「おにいたま……どぉしたの?」
怪訝な顔をしてオレの顔を覗くヒナ。
「ふ……なんでもない…あれをゲットすれば良いんだな」
「うん!!」
「それじゃあ待ってろ。おにいたまが今すぐゲットしてやるからな」
第二話へ続く