――ザー……――
今日も昨日も一昨日も、降りしきる雨と雨雲で灰色の世界となっているこんな季節。
オレ――双刃輝晃(ともは てるあき)――は傘も差さぬまま、筆記具以外殆ど入っていないカバンを
傘代わりにして家路を急いだ。その途中で、ジャージ姿の見慣れた姿が目に入った。……妹の『衛』だ。
だが、この連日の雨の所為なのか、何時もよりも表情が暗い。
「お〜い、どーしたんだ衛?」
とりあえずオレは、衛に近づき声をかけてみる。もしこれで衛は何かあった時には決まって、
「『どーした』って? なんでもないよ……あにぃ…」
…と『お約束』のようになんでも無いように装うのだが…
「(…にしても、ここまでオレの予想通りであるとは…)」
顔では深刻な表情は隠せない。そこでオレは、
「そうか……オレは衛にとっては『その程度』でしか見ていないんだな…」
オレはそう言ってカマをかける。
「そ……そんなんじゃないよ…! ボクはあにぃに心配かけたくないから……その…」
「判っているよ……でもさ、鈴凛程でないにしても、オレに相談しろよ…て、ここで立ち話も何だ。オレの部屋で話の続きでもどうだ?」
この梅雨空の下で長話してたら、互いに健康に悪い。そこでオレは衛と共に、この近くにあるオレの
住んでいるアパートに向かうことにした。
第二話へ続く