滅笛「コォ−−−−−−−……覇ぁ!!」
左手を斜め前に突き出し、『息吹』をする滅笛。
滅笛「フン!チトセェ、てめぇにオレの『切り札』を見せてやるよ!!」
『切り札』を見せようとする滅笛に対して、チトセはそれを無言で邪魔する。
手にした漆黒の刃が、闇よりもなお昏い『闇』を放った。
チトセの『闇』による一撃を、寸手のところで避ける滅笛。
滅笛「…ふあぁ〜やぁべぇやべぇ………って『ヒーローの変身シーンを邪魔すんな!!』という偉大な言葉をしらねぇのか!!貴様ぁ!!!!」
チトセ「貴様を倒すのに、そんなものに構ってる暇はない!」
そういって再び、『闇』を放つチトセ。
滅笛「ちぃ!所構わずやりやがってこの餓鬼ガァ!!」
何度も放たれる『闇』に当たりそうになりながら滅笛は毒づいた。
そうこうしている内に、滅笛はついに、逃げ場を『さくら亭』の壁に奪われた。
滅笛「ち……こいっつぁヤバイバ……」
横に逃げればさくら亭が、かといってこのままだとさくら亭ごと真っ二つにされる絶体絶命のDIEピンチに、滅笛は動けないでいた。
チトセ「……フン、これで、キサマも終わりだ……もう少し楽しみたかったが、まぁいい。キサマを真っ二つにしても、その身体自体必要だからな……」
そう言って剣を水平に構え、『闇』を限界まで溜め込んでそれを放とうとする。
滅笛「(逃げれば『さくら亭』が……このままでも『さくら亭』ごと、それなら……一か八か……)」
覚悟を決め、タイミングを計る滅笛。
滅笛(まだ…まだだ……まだまだだ……)
言葉を押し殺し、『闇』を貯めるチトセ、一瞬の隙を窺い、大地に深く根を張る世界樹の如く動かない滅笛……。
降りしきる冷たい雫や『闇』が無ければ一枚の絵と見紛うほど動かぬ小さな世界に『闇』が動いた。
滅笛は、チトセの剣から『闇』が放たれていくその一瞬を見逃さなかった。
滅笛「イぃーーーーーーーぇヤぁ!!!!」
勢い良く放たれた矢の如く踏み込み、的に的中するが如く滅笛の拳は、チトセの右手ごと剣を上に打ち上げた。
それによって軌道がそれる『闇』。
――それを見とれる隙を与えさせない滅笛の追撃……
滅笛「ハァッ!!」
チトセ「グぅっ!!」
その勢いを生かしてチトセの右脇腹に裡門頂肘が。さらに――
滅笛「どらぁっ!!」
腹のど真ん中に崩拳が入り――
チトセ「ぎ……が…」
滅笛「これでぶっ飛びやがれぇー−−!!!!」
と、駄目押しに放った連環腿が、チトセの顎にヒットし、さくら亭の向かいの空き店舗を貫通していった。
第九話へ続く